日本には15の大臣職があります。時代に合わせてその職務内容も多様化していくため、何大臣が何を管轄しているのか、少々分かりづらいです。
そこで、大臣の仕事内容を全般と省庁ごとに分けて紹介します。また、各大臣の給与もまとめました。
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大臣の全般的な職務内容
日本の大臣は各省庁の最高責任者であり、その省庁の政策の立案や実施、管理を担当します。主な仕事内容は次のとおりです。
政策立案と指導
自身の省庁の政策を立案し、実行するための方針を指導します。これには、国の長期的な目標や政策目標の設定も含まれます。
予算管理
予算の配分と管理を監督します。省庁の活動に必要な予算を計画し、財政の健全性を確保するために努力します。
法律遵守と規制
国の法律や規制を遵守するようにその省庁を指導します。また、必要に応じて新たな法律や規制の制定にも関与することがあります。
外交と国際関係の調整
外務大臣など一部の大臣は、外交政策や国際関係に関与することもあります。国際的な問題に対処し、国際協力を促進するための努力を行います。
行政管理
省庁の行政業務や人事管理を監督します。省庁内の組織や業務プロセスの改善も含まれます。
議会との関係調整
国会や地方議会との関係を維持し、政府の政策や活動に関する説明や協力を行います。
大臣の省庁ごとの職務内容
つづいて、省庁ごとの大臣の職務内容を紹介します。
内閣官房長官
内閣官房長官は政府の中枢に位置し、政策の総合調整や国家戦略の立案を担当します。また、行政改革や地方自治体との関係も重要な役割です。
国務大臣秘書官1名が割り当てられるほか、各省庁の事務取扱秘書官も出向されます。
総務大臣
総務省を担当し、行政全般の調整や地方自治体の支援など多岐にわたる役割を果たします。
地方自治体の運営支援や行政の効率化を図るための施策を策定と実施、国政選挙や地方選挙の管理・監督を担当します。
また、消防などの防災も管轄しており、災害発生時の災害対策本部も設置され指示・管理を担います。
財務大臣
財務大臣は、国の財政政策や予算の編成・執行、税制の改革、財政規律の維持などに責任を負います。経済の安定や国の財政健全性を確保するために重要な役割を果たします。
財務大臣の国際会議にも出席します。
国の最重要閣僚の1つで、のちに内閣総理大臣になっていった人が多いです。内閣総理大臣が兼務することもあります。
経済産業大臣
経産大臣は、産業政策の策定・推進、エネルギー政策の立案、貿易政策の推進、技術革新の促進などを担当します。産業界やエネルギー産業の発展をサポートし、経済の成長を促進します。
重要閣僚のひとつで、先進国首脳会議にも出席し発表を行います。
厚生労働大臣
厚労大臣は、社会保障政策の立案・推進、労働政策の策定・実施、労働市場の健全化、労使関係の調整などに責任を負います。国民の健康や福祉を保護し、働く人々の権利や安全を守ります。
外務大臣
外務大臣は、外交政策の立案・推進、国際関係の維持・発展、国際協力の促進などに関与します。国際社会との連携を図り、国益を守るために活動します。
不偏不党の観点から、かつては政党に所属しない人が起用されるのが通例で、外交官出身者の起用は普通でした。
戦後は政治家にとって重要ポストになり、外務大臣経験者が内閣総理大臣になるケースも非常に多いです。
文部科学大臣
文科大臣は、教育政策の策定・実施、科学技術政策の推進、文化振興などに携わります。教育の質の向上や科学技術の発展を促進し、国民の知的・文化的な成長を支援します。
現在では科学技術部門は内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)が担うようになっており、職務・権限の分掌がなされています。
環境大臣
環境保護や持続可能な開発の推進、自然資源の保全などを担当します。
大気・水・土壌汚染の防止、廃棄物管理、再生可能エネルギーの推進などの自然保護や、温室効果ガスの削減目標の設定や、再生可能エネルギーの促進、持続可能な都市開発など、気候変動への対応策を推進します。
また、国際的な環境問題に関する協力や交渉を担当します。国際的な環境規制や協定の策定に参加し、国際社会との連携を図りながら、地球環境の保全に貢献しています。
防衛大臣
国防政策の立案・実施を担当し、国の安全保障を確保するための重要な役割を果たします。
軍事力の整備や配備、防衛予算の編成や、国内外の安全情報を収集し、分析して国の安全保障政策に反映させます。これによって、安全保障上のリスクや脅威を評価し、適切な対応を行います。
国の安全保障を確保するために、政策の立案と実施、自衛隊の指揮監督、安全情報の収集と分析など幅広い職務を担当しています。
法務大臣
法律や司法制度の適正な運用を確保するための役割を果たします。
社会の変化や必要性に応じて、新しい法律の制定や既存法の改正に関与します。裁判所の運営や司法行政の管理、法務省の機能の発展など、司法制度全体の円滑な運営を監督しています。
務大臣は、法の制定・運用、司法制度の運営、法の執行と遵守の促進など、法と正義の実現に関する幅広い職務を担当しています。
農林水産大臣
農業、林業、水産業などの農林水産業を担当し、食料生産や農村の振興、水産資源の保護などを担当します。
食料自給率の向上や農業生産の安定化、漁業資源の管理や海洋保護、水産加工業の振興、森林保護や森林資源の持続可能な利用、林業の振興などを行い、森林の保全と活用を促進します。
また、食品の衛生管理や食品の安全基準の設定、農薬や化学物質の規制を担当するほか、農村地域のインフラ整備や地域産業の育成、地域の観光資源の活用などを支援して地域経済の活性化を促進する役割も担っています。
復興大臣
東日本大震災からの復興を担当するために復興庁が設けられました。現在、2031年3月31 日までの存続が決定しています。
東日本大震災の被災地域の現状を分析し、復興計画を策定しています。生活再建支援、住宅再建支援、雇用創出支援など、被災者のニーズに応じた支援策を実施しています。
また、防災施設の整備、避難計画の策定、災害対策の普及啓発などを行い、将来の災害リスクを軽減するための防災・減災策の強化を推進しています。
国家公安委員会委員長
1948年に旧警察法の下でつくられたもので、警察庁を管轄しています。
警察の組織運営や業務の効率化、法令遵守の監視、公正な法執行の確保や犯罪の予防や取り締まり、テロリズムや組織犯罪などの脅威への対処を担い、社会の平和と安定を守るための施策を推進しています。
また、国内のみではなく国際的な犯罪対策や情報共有の強化、国際テロ対策の推進などを通じて、国際社会との協力も担っています。
国土交通大臣
国土計画、交通政策、都市計画、地方自治体の交通施設整備など、国土や交通に関する業務を担当しています。
土地利用の調整や国土保全、地域のバランス発展など、国土の持続可能な利用を目指す政策や、道路、鉄道、航空、海運などの交通インフラの整備や交通安全対策、交通流の円滑化などを促進しています。
内閣府特命大臣
2001年の中央省庁再編にともなって内閣府に新たに設置された役職です。特定の課題や政策領域に関する専門的な業務を担当しています。
内閣によって命じられる政策に違いがありますが、経済再生や地域活性化、女性活躍推進、防災・復興支援などの分野に焦点を当てられることが多いです。数名が任命されることが多いです。
特命大臣は、自らの担当する政策領域に関する政策を立案し、関係省庁や関係団体と調整や協力を行って政策実現に向けて取り組みます。
また、国会、マスメディア、一般市民などに対して、自らの担当する政策領域に関する報告や説明を行います。
働くあなたに簡単レシピでバランスごはんをお届け♪食材宅配のヨシケイ大臣の給与(年収)
日本の大臣の給与は、基本的には「特別職の職員の給与に関する法律」に基づいて決定されます。
※関連記事:政治家になるにはどうすればいいか【国会議員】
大臣の給与の決め方
大臣の給与は法律で決められています。この法律は毎年のように改定されます。
閣議決定
大臣の給与は、閣議で決定される基本給与額に基づいています。閣議で決定された基本給与額は、大臣の職位や役職に応じて異なります。
公務員の給与との比較
大臣の給与は、日本の公務員の給与水準と比較されて決定されます。一般的に、大臣の給与は高位の公務員の給与よりも高い水準に設定されることがあります。
法律の変更
大臣の給与額は、法律の改正や修正によって変更されることがあります。政府が給与制度を見直す際には、国会での議論や法律の改正が行われることがあります。
大臣の給与額
大臣の給与額は毎年のように改正されます。
令和5年4月時点では以下のように決められています(特別職の職員の給与に関する法律より)。
内閣総理大臣の給与額
国務大臣の給与額
国民の平均給与との比較
大臣の給与を日本国民の平均給与と比較すると以下のようになります。
年収 | 国民平均との比較 | |
内閣総理大臣 | 約4,061万円 | 8.9倍 |
国務大臣 | 約2,961万円 | 6.5倍 |
国民 | 約458万円 | 1 |
総理大臣の年収4,000万円とみると多いように感じるかもしれません。
経済協力開発機構(OECD)の加盟国32か国のなかでは13位の高さだそうです(ビジネスインサイダー「日本の首相は何倍? ランキングで見る、世界のリーダーと自国民との収入格差」より)。
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日本の国務大臣の役割を省庁ごとに紹介しました。
日本には復興大臣含めて15の国務大臣職があります。それぞれの専門領域で必要な政策を立案し、国内外問わず推進しています。
また、大臣の給与は法律で決められており、総理大臣の年収は約4,000万円、そのほかの国務大臣の年収は約3,000万円です。ただし、ここから社会保険料や所得税と住民税で3分の1ほど引かれます。
身辺調査をされ、災害や事故発生時にはすぐにかけつける必要があり、安定した職とは言えません。
「国のために働く」という使命感を必要とする仕事と言えそうです。
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