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衆議院の解散はなぜやるのか?:郵政解散やハプニング解散などの実例を上げながら解説します

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日本の国会は、衆議院と参議院の二院制を採用しています。このうち、衆議院には「解散」があることが特徴です。では、衆議院の解散とは何か、そしていつ、なぜ行われるのかについて詳しく解説します。また、参議院に解散がない理由についても触れていきます。

※関連記事:衆議院の優越とは:衆議院に強い権限がある理由を紹介

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衆議院の解散とは

衆議院の解散とは、現職の衆議院議員全員がその職を失い、選挙によって新たな議員が選ばれるための制度です。

解散が行われると、速やかに総選挙が実施され、国民が新たな衆議院議員を選びます。解散後は衆議院が一時的に空白となりますが、この期間中も内閣は国政を執行します。

衆議院の解散は、日本国憲法第7条に基づき、天皇が「国事行為」として行うものですが、実際には「内閣の助言と承認」により決定されます。そのため、内閣が重要な役割を果たしているのです。

衆議院の解散はなぜやるのか

衆議院の解散は、主に国民の意志を反映させるために行われます。解散によって、現職の議員が一旦全て職を失い、国民が新たな議員を選び直すことで、民意が国政に反映されます。

以下、衆議院解散が行われる目的を説明します。

政権の信任を再度得るための選挙を行いたい

内閣が自らの政策や政権運営に対して、国民の支持が十分であるかどうかを確認する必要があると判断したときに行われます。

解散例①:1986年消費税導入

例えば、1986年の消費税導入前の選挙。中曽根康弘内閣は消費税導入を掲げていたため、その政策に対する国民の信任を得るため、衆議院を解散して選挙を実施しました。

解散例②:郵政解散

2005年の「郵政解散」もこの一例です。当時の小泉純一郎内閣は郵政民営化法案が参議院で否決されたことを受け、「郵政民営化を進めるべきか否か」を問うために衆議院を解散し、総選挙を実施しました。

この解散は、民営化に対する強い信念から国民の支持を再確認し、選挙で圧倒的な勝利を収めた例です。

与党内や連立与党間での意見対立を打開したい

与党や連立与党内で政策方針や戦略を巡って意見が対立し、政権運営が難航している場合にも、総選挙を行って民意を確認することで、その問題を打開することがあります。

選挙をつうじて支持基盤をかため、党内での権力基盤も強化するねらいがあります。

解散例:1980年ハプニング解散

この例として1980年の「ハプニング解散」が挙げられます。

当時の大平正芳内閣は与党内の派閥対立に直面し、予算案の採決が難航するなかで内閣不信任決議案が可決されました。

その結果、衆議院が解散されましたが、これも政権基盤の弱体化を打開する目的がありました。

※関連記事:歴代内閣総理大臣の在職日数長さランキング(1~20位):在職日数の長い首相、短い首相は誰か

衆議院議員の任期満了にともなう選挙

衆議院議員の任期は4年間ですが、任期満了による解散もあります。ただし、衆議院は通常、任期満了を待たずに解散されることが多いです。

任期満了の例:1976年三木内閣

過去に衆議院が任期満了を迎えて総選挙が実施されたのは、1976年の三木内閣のときだけです。

解散総選挙は「内閣の伝家の宝刀」とも呼ばれ、国会運営の切り札的な手段です。そのため、通常は「任期満了」よりも前に「内閣に都合の良いタイミング」で衆議院解散が行われます。

※関連記事:歴代総理大臣の一覧表

内閣不信任決議案の可決後の選挙

衆議院が内閣不信任決議案を可決した場合、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければなりません。この場合、衆議院解散が選ばれることがあります。

過去、内閣不信任案が可決されて総選挙となった内閣は4つあります。

※関連記事:内閣不信任決議:不信任決議が可決された日本の歴代内閣4つとその経緯を紹介

衆議院が解散されたあとどうなるのか

衆議院解散が国会で宣言されると、ただちに総選挙に向けて動き出します。

40日以内に総選挙の実施

解散後、40日以内に衆議院総選挙が行われる必要があります。この選挙によって新たな衆議院議員が選ばれ、国民の意思が再び国会に反映されます。

選挙期間中、政治活動は一時的に選挙運動に集中します。

新たな内閣の発足

総選挙後、選ばれた衆議院議員の中から内閣総理大臣が指名され、新たな内閣が発足します。

総選挙の結果次第では、同じ内閣が続投することもあれば、新たな政権が誕生することもあります。

衆議院総選挙にかかる費用

衆議院の解散後に行われる総選挙には、相当な費用がかかります。

総務省のデータによれば、1回の衆議院総選挙にかかる費用は、数百億円に達します(Judgitより)。選挙にかかる主な費用には、以下のものがあります。

投票所の設置と運営費

全国に設置される投票所や期日前投票所の運営には、多大なコストがかかります。人件費、設備費、交通費などが含まれます。ポスターの設置費用も発生します。

候補者の選挙運動費用

候補者は選挙運動に多額の費用を投じます。ポスターの印刷、選挙カーの使用、広報活動などがその例です。国から一部の費用補助が出る場合もありますが、自己負担が基本です。

※関連記事:政治家になるにはどうすればいいか【国会議員】:資格はいる?年齢制限は?お金はどれくらいかかる?
※関連記事:選挙ポスター デザイン:選挙に勝てるポスターや票を集めるデザインの特徴を紹介

投票用紙や集計システムの運用費

投票用紙の印刷費や開票作業のシステム運用にも大きな費用がかかります。特に開票作業の効率化のためには、最新の機器やシステムが必要とされます。

ちなみに、ネット投票に切り替えるとこれらの費用の何割かは削減できるとされています。ネット投票の導入を訴える議員立法の法案も提出されていますが、何年も審議にすらかかっていません。

その理由は「選挙でネット投票ができないのはなぜか」で解説しています。

参議院に解散がない理由

参議院には、衆議院とは異なり「解散」がありません。その理由は、参議院が「安定した議会運営」を目的とした存在だからです。

参議院は3年ごとに半数が改選される

参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選される「定期改選制」を採用しています。これにより、参議院全体が一度に刷新されることはなく、政治的な安定が図られています。

つまり、参議院は衆議院と異なり、政権の変動や解散によって大きく左右されないため、政治の連続性を保つ役割を果たしています。

衆議院のチェック機能を担っている

参議院は衆議院に対する「チェック機能」も担っています。衆議院が解散して新たな総選挙が行われても、参議院が存在することで、急激な政策転換や不安定な政権運営を防ぐ役割を果たします。

このようなバランスを保つために、参議院には解散がないのです。

まとめ

内閣と国会(衆議院)の対立が表面化した場合や、内閣が国民の信任を得たいと判断した場合に、衆議院解散が行われます。解散を通じて総選挙が行われることで、内閣は国民からの新たな信任を得ることができ、安定した政権運営が可能になります。

衆議院の解散は、日本の議会制民主主義において、国民の意志を反映させる重要な制度です。解散によって衆議院議員が一旦全員失職し、総選挙を通じて新たな議員が選ばれることで、国政が常に民意に基づいたものとなります。また、政治の安定性を確保し、衆議院とのバランスを保つため、参議院には解散がありません。

衆議院の解散と参議院の定期改選制の両立によって、日本の議会は変化と安定のバランスを保ちつつ、国民の意思を国政に反映させる仕組みが維持されています。

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