政治活動のひとつに政党の広報活動が挙げられます。国民に広く認知をしてもらい、支持を獲得するためです。
かつて政党の広報活動と言えば、機関紙の発行や講演会、冠婚葬祭での顔つなぎがメインでした。現在ではこうした活動に加えて「SNSの活用」が大きな手段になっています。
そこで、この記事では国政政党のSNSの登録者数をランキング形式で紹介します。
各政党の広報活動のやり方を知ることで、その政党がどの年齢層をターゲットにし、その方針がどれだけ成果につながっているかを知ることができるはずです。
※関連記事:政党の党員数ランキング:党員の特典、党費の高い党・安い党、党員になるメリット・デメリットを紹介
【最新】政党のYouTube登録者数
まず、政党ごとにYouTubeの登録者数を紹介します。こちらの数字は2024年12月15日時点です。
1位:れいわ新選組(33万8000人)
1位はれいわ新選組で、登録者数は30万9000人です。
2019年4月26日の動画を皮切りに、2024年12月15日時点で1984本もの動画をアップしています。ほぼ1日1本ペースです。
演説や記者会見など、数十秒程度の短いものもありますが、1時間超えの見ごたえのある動画も多数アップされています。
再生回数は200万回が1本あり、50万回以上の動画も2ケタあります。多くは10万回以下です。
本数 | |
100万回再生動画 | 2 |
50万回再生動画 | 12 |
10万回未満再生動画 | 1970 |
再生回数の最も多い動画
れいわ新選組のYouTube動画で最も再生回数のものは、ある疑惑に対して党首の山本太郎議員が答える動画です。タイトルは「街頭演説はやらせ!?山本太郎 疑惑の真相を語る!!」です。
2位:参政党(25万1000人)
2位は参政党で、登録者数は25万1000人です。
2022年7月22日から動画アップを開始し、すでに974本アップ済です(2024年12月15日時点)。アップ頻度は1日1本ペースです。
一般的なYouTube動画同様に、著名人との対談動画や「反ローバリズムの動き」のように特定のテーマに関する語り動画がメインです。
100万回再生されている動画もありますが、多くは数万回以下です。
本数 | |
100万回再生動画 | 3 |
50万回再生動画 | 4 |
10万回未満再生動画 | 970 |
再生回数が最も多い動画
参政党のYouTube動画で再生回数が最も多いのは党のCMで、タイトルは「ボクらが作るのは、日本だ」です。再生回数は539万回です。
2024年10月から12月の間に400万回以上再生回数が伸びています。
3位:国民民主党(21万300人)
3位は国民民主党で、登録者数は21万300人です。2024年の衆議院選挙の前後で登録者数が4倍以上(2024年10月5日時点で4万8000人)に増えています。
2018年10月30日動画アップを開始しており、1142本の動画がアップ済です。
2日に1本ペースと、登録者数上位の政党にくらべるとやや少ないペースです。
当初は対談動画や政治ネタの解説動画が多かったようですが、最近は記者会見や国会での代表質問の様子を映した動画多いです。
本数 | |
100万回再生動画 | 17 |
50万回再生動画 | 20 |
10万回未満再生動画 | 1122 |
再生回数の最も多い動画
国民民主党の動画で再生の最も多いものは2024年10月9日にアップされた党のCM動画です。タイトルは「手取りを増やす」で、再生回数は1394万回です。
4位:公明党(19万6000人)
4位は公明党で、登録者数は19万6000人です。
2008年2月5日から動画アップを開始しており、自民党や共産党と並んで政党YouTuberの草分けとも言えます。昔の動画の画質にノスタルジーを感じます。
動画本数は4701本で、年間300本近くのペースです。
動画内容は記者会見や所属議員の演説、国会での特別委員会での発言シーンなどです。
100万回以上再生の動画が17本あります。大半は10万回以下です。
本数 | |
100万回再生動画 | 11 |
50万回再生動画 | 17 |
10万回未満再生動画 | 4673 |
再生回数の最も多い動画
再生回数の最も多い動画は公明党のCMで、タイトルは「母の手に守られて」。2017年の衆議院選挙に合わせて作られた動画です。
再生回数は2024年12月15日時点で565万回です。2024年10月から12月まで変化していません。
5位:日本共産党(14万3000人)
5位は日本共産党で、登録者数は14万3000人です。
共産党は2007年12月28日からYouTubeをスタートしており、動画本数は驚愕の1万3754本です。1日2.5本ペースという、とてつもない組織力を見せつけている本数です。
動画の多くは国会質問やCMなどで、公明党と同じく一般YouTube動画とは一線を画した政党広報に特化した内容です。
本数 | |
100万回再生動画 | 6 |
50万回再生動画 | 10 |
10万回未満再生動画 | 1万3744 |
再生回数の最も多い動画
共産党の動画で再生回数が最も多いものは党のCMで、タイトルは「ココがアツイよ。日本共産党」です。
2024年にアップされたラップです。アップから1か月ほどで動画再生回数はなんと775万回を記録しています。
6位:自由民主党(13万9000人)
6位は自民党で、登録者数は13万9000人です。
2007年12月6日からYouTubeをはじめており、動画本数は5379本です。ほぼ1日1本ペースです。お初動画は全政党のなかで個人的にイチ推しです(政治的な意図は皆無です。単に動画としての面白さです)。
動画内容は記者会見や自民党幹部からのメッセージです。2008年の動画は河野太郎議員出演のものが圧倒的に多く、「やっぱりこの人SNS好きなんだな」と、納得です。
本数 | |
100万回再生動画 | 20 |
50万回再生動画 | 27 |
10万回未満再生動画 | 5332 |
再生回数の最も多い動画
自民党の動画で再生回数の最も多いものは、2024年自民党総裁選後にアップされた動画です。
タイトルは「【石破総裁メッセージ】日本を守る。成長を力に。」で、アップから2ヵ月で再生回数は脅威の2178万回。政党公式動画として群を抜いて2番目に多いです。
7位:日本維新の会(10万5000人)
7位は日本維新の会で、登録者数は10万5000人です。
2015年12月12日から動画アップをはじめており、本数は3648本です。1日1本以上のペースです。
初期の動画は記者会見中心でしたが、最近では「ホンマに政治改革やる気あるん?!【維新deGO! 】」というタイトルの対談動画など、一般的なYouTube動画のようなものがメインです。
大半の動画は10万回以下ですが、1000万回再生の動画も2本あります。登録者数は決して多いほうではありませんが、再生回数が多めです。
本数 | |
100万回再生動画 | 9 |
50万回再生動画 | 16 |
10万回未満再生動画 | 3632 |
再生回数の最も多い動画
日本維新の会の動画で再生回数の最も多いものは2024年の衆議院選挙に合わせて作られた党のCM動画です。タイトルは「維新が実行する4大改革」で、再生回数はアップから2ヵ月で、なんと2739万回です。
政党YouTube動画で最も再生回数の多い動画です。
8位:立憲民主党(3万4000人)
8位は立憲民主党で、登録者数は3万4000人です。
2017年10月4日からYouTubeデビューしており、動画本数は2003本です。1日0.7本ペースです。
当初の動画は枝野元代表の選挙演説や辻元清美議員の記者会見などがメインでした。最近ではさまざまな社会テーマ、政治テーマについて所属議員が解説する動画がメインです。
最新の動画の再生回数は好調ではないようで、ほかの政党が1か月で8000回ほど再生されているのに対して立憲民主党の最新動画は1000回前後が目立ちます。
2024年の衆議院選挙で大勝利していますが、YouTubeの登録者数はあまり伸びていません。同じく大勝利した国民民主党が登録者数を4倍以上に増やしているのに比べて、違いが顕著です。
支持層に大きな違いがあるようです。
本数 | |
100万回再生動画 | 10 |
50万回再生動画 | 11 |
10万回未満再生動画 | 1992 |
再生回数の最も多い動画
立憲民主党の動画で再生回数の最も多いものは2024年衆議院選挙に向けてつくられた党のCM動画で、再生回数は2024万回。タイトルは「政権交代こそ、最大の政治改革。」です。
9位:社会民主党(6550人)
9位は社民党で、登録者数は6550人です。
2007年12月12日にアップされた動画が社民党としての最初の動画です。懐かしの土井たか子さんが映っています。
動画本数は870本で、7日に1本のペースです。全政党のなかでもっとも動画アップのペースがゆるやかです。
特に最近は数か月に1本ペースになっています。動画担当者の方が変わられたのか、別の役職と兼務されてお忙しいのか、党の方針が大きく変わったのか。
本数 | |
100万回再生動画 | 0 |
50万回再生動画 | 0 |
10万回未満再生動画 | 870 |
再生回数の最も多い動画
社民党の動画で再生回数の最も多いものは、2008年7月9日にアップされた社会主義の国際大会です。タイトルは「起て飢えたる者よ」(原文ママ)で、再生回数は11万回です。
ほかの政党にくらべて再生回数が圧倒的に少ないです。動画の更新頻度が少ないですが、動画作成に力が入らない理由が分かる気がします。
各政党のYouTube状況まとめ
政党 | 登録者数 | YouTubeデビュー年月日 | 動画本数 | 動画アップペース | 動画の最多再生回数 |
れいわ新選組 | 33.8万人 | 2019年4月26日 | 1984本 | 1日1本 | 209万回 |
参政党 | 25.1万人 | 2022年7月22日 | 974本 | 1日0.8本 | 539万回 |
国民民主党 | 21.3万人 | 2018年10月30日 | 1142本 | 1日0.6本 | 1394万回 |
公明党 | 19.6万人 | 2008年2月5日 | 4701本 | 1日0.75本 | 565万回 |
日本共産党 | 14.3万人 | 2007年12月28日 | 1万3754本 | 1日2本 | 775万回 |
自由民主党 | 13.9万人 | 2007年12月6日 | 5379本 | 1日0.9本 | 2178万回 |
日本維新の会 | 10.5万人 | 2015年12月12日 | 3648本 | 1日1本 | 2739万回 |
立憲民主党 | 3.4万人 | 2017年10月4日 | 2003本 | 1日0.7本 | 2024万回 |
社会民主党 | 6,550人 | 2007年12月12日 | 870本 | 1日0.1本 | 11万回 |
【最新】政党のインスタグラムフォロワー数
インスタグラムのフォロワー数も紹介します。2024年12月15日時点の数字です。
1位:公明党(5万2000人)
1位は公明党で、フォロワー数は5万2000人です。
投稿数は983本です。
2位:自由民主党(5万1000人)
2位は自民党で、フォロワー数は5万1000人です。
投稿数は903本です。
3位:参政党(3万8000人)
3位は参政党で、フォロワー数は3万8000人です。
投稿数は1116本です。
4位:れいわ新選組(3万2000人)
4位はれいわ新選組で、フォロワー数は3万2000人です。
投稿数は2981本です。
5位:国民民主党(1万5000人)
6位は国民民主党で、フォロワー数は1万5000人です。
投稿数は259本です。
2024年衆議院選挙の前後で投稿数は数本しかしていませんが、フォロワー数は2倍近くになっています。
6位:日本共産党(1万人)
5位は日本共産党で、フォロワー数は1万人です。
投稿数は302本です。
7位:立憲民主党(8143人)
7位は立憲民主党で、フォロワー数は8143人です。
投稿数は414本です。
8位:社会民主党(6153人)
8位は社会民主党で、フォロワー数は6153人です。
投稿数は629本です。
9位:日本維新の会(4164人)
9位は日本維新の会で、フォロワー数は4164人です。
投稿数は924本です。
各政党のインスタフォロワー数まとめ
政党 | フォロワー数 | 投稿数 |
公明党 | 5.2万人 | 983件 |
自由民主党 | 5.1万人 | 903件 |
参政党 | 3.8万人 | 1116本 |
れいわ新選組 | 3.2万人 | 2981本 |
国民民主党 | 1.5万人 | 259本 |
日本共産党 | 1万人 | 302本 |
立憲民主党 | 8143人 | 414本 |
社会民主党 | 6153人 | 629本 |
日本維新の会 | 4164人 | 924本 |
ほとんどの政党はSNSでの広報に力を入れている
ご覧のように、時代遅れと言われながらほとんどの国政政党はSNSにも力を入れています。
自民党、公明党、共産党、社民党は2007年からYouTube開始
特に、自民党、公明党、共産党、社民党の古参政党はのきなみ2007年からYouTubeを開始しています。
2007年といえば、ヒカキンより1年遅く、
はじめしゃちょーより5年早いです。
ほかの新参政党も、国政に参加してすぐYouTubeチャンネルを開設しています。
いかにYouTubeに力を入れているかが分かります。
公明党、自民党、参政党、れいわ新選組のインスタフォロワー数は法人アカウントの上位数%以内
テテマーチが25業界・4311法人アカウントを調査した結果からみると、公明党、自民党、参政党、れいわ新選組のインスタフォロワー数は法人アカウントの上位数%以内のようです。
政治への関心がうすれていると言われがちですが、国政政党としてかなりがんばっていると言える結果ではないでしょうか。
政党とSNSの関係性を解説
政党がSNSを活用する理由とは?
SNSは現代社会における最も効果的な情報発信手段の一つです。政党がSNSを活用する理由は、まずその広いリーチにあります。
SNSプラットフォームには年齢層を問わず多くの人々が利用しており、政党はこれを通じて幅広い層にメッセージを届けることが可能です。また、SNSは特に若年層へのアプローチにおいて強力なツールです。
従来のテレビや新聞といったメディアよりも若者の生活に密接しており、SNSを活用することで政治への関心を引き出せます。2024年度の兵庫県知事選挙の結果は、「テレビなど従来のメディアの敗北であり、SNS広報の勝利」とも言われています(NHKなど)。
さらに、SNS運用は低コストで済む点も魅力です。広告費用や紙媒体の印刷コストを削減しつつ、ダイレクトに有権者と交流できるメリットがあります。
このように、SNSは政党が効率的かつ効果的に支持層を拡大するための重要な手段となっています。
YouTubeやSNSが政治に与える影響
YouTubeやX、InstagramといったSNSは、政治活動や選挙戦略に大きな影響を与えています。
まず、SNSは政治参加を促進する役割を果たします。例えば、YouTubeを通じた候補者の演説配信や政策説明動画は、文字情報では理解しにくい内容を視覚的に伝えることで有権者の理解を深めます。
また、コメント欄を通じた双方向の交流は、有権者が意見を発信しやすい環境を作り出します。さらに、SNSは政党や候補者の支持層を拡大するツールでもあります。特に地方や若者、無党派層へのリーチが容易で、インフルエンサーとの連携による効果も期待できます。
ただし、SNS利用には炎上リスクやフェイクニュースの拡散といった課題もあるため、慎重な運用が求められます。
国際比較と未来のSNS戦略
他国の政党によるSNS活用の事例
他国の政党がSNSをどのように活用しているかを見ると、日本との違いが浮き彫りになります。例えば、アメリカではトランプ元大統領がXを積極的に活用し、支持者との直接的なコミュニケーションを取る手法で注目を集めました。
一方、イギリスでは労働党や保守党がInstagramやFacebookを駆使して、若年層や都市部の有権者にターゲットを絞った広告配信を行っています。
また、韓国では文在寅大統領の選挙キャンペーンでYouTubeを使った政策動画やライブ配信が成功を収めました。
これらの事例から、日本の政党はまだSNSの利点を十分に活用しきれていない面があるといえます。他国に倣い、ターゲット層を明確にした戦略や動画コンテンツの質向上が課題です。
政党のSNS活用が日本政治に与える影響と展望
政党のSNS活用は、日本の政治にさまざまな影響を与えています。
まず、若者の政治参加の促進が期待されています。従来、政治への関心が薄いとされてきた若年層に対して、SNSを通じた情報発信は親しみやすく、興味を持つきっかけとなります。
2024年衆議院選挙での国民民主党の大躍進はSNS戦略の勝利とも言われています(読売新聞オンラインなど)。
また、SNSは選挙戦略にも変革をもたらしています。個別の有権者に直接アプローチできる点で、候補者の認知度向上や投票行動に結びつきやすいです。
今後は、AIやビッグデータを活用したSNS戦略が進化し、さらに効率的なターゲティングや効果測定が可能になるでしょう。
しかし、一方でSNS活用が進むほど、有権者との距離感や過度な情報戦略が批判の対象となるリスクもあります。日本の政党は透明性や倫理観を保ちつつ、未来志向のSNS戦略を構築する必要があります。
なお、若者の投票率については以下の記事で詳しく解説しています。
若者の選挙の投票率推移:投票率の変化と内閣支持率・政党支持率の関係について
まとめ
政党のSNS登録者数ランキングを紹介しました。YouTube登録者数とインスタグラムのフォロワー数、動画アップ数、動画アップのペース、投稿数などです。
どの政党もSNSにかなり力を入れており、なかでもれいわ新選組、参政党、国民民主党はYouTubeの登録者数が20万人を超えており、法人アカウントとしてはフォロワー数が上位1割以内のようです。
政党ごとの政策や政治家の人柄についてくわしく知りたい方、これからご自身が政界入りを考えている方など、ぜひ参考にしてください。
なお、国会議員になる方法を以下の記事でくわしく解説しています。
※関連記事:政治家になるには?必要な資格・学歴・経験と成功の秘訣や必要なお金を徹底解説!【国会議員編】
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