日本の政治を理解するうえで「国会」と「内閣」は欠かせない存在です。本記事では、国会と内閣の基本的な役割やその関係性、特に内閣の「連帯責任」の仕組みについて詳しく解説します。
具体例を交えながら、政治の仕組みをわかりやすくご紹介しますので、これから政治を学ぶ方にも最適です。
国会と内閣の基本的な役割と関係
参考:
衆議院 – 議院内閣制
首相官邸ホームページ「2. 現行憲法下の内閣制度」
国会と内閣の概要
- 国会は日本の「立法機関」であり、国民を代表して法律を作成し、政府の活動を監視する役割を担います。憲法第41条で「国権の最高機関」と位置づけられています。
- 内閣は日本の「行政機関」であり、国会で成立した法律を執行し、国の行政を司る役割を果たします。内閣総理大臣を中心に構成され、憲法第65条でその権限が定められています。
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
日本国憲法第41条より引用
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
日本国憲法第65条より引用
国会の役割(立法機関として)
- 法律の制定
国民の生活に関わる法案を審議・決定します。衆議院と参議院の両院で可決されることで法律が成立します。 - 行政の監視
内閣が適切に行政を行っているかチェックする役割があります(例: 質疑応答や予算審議)。 - 予算の承認
国の財政計画を決める予算案は国会で審議・承認されます。
なお、国会には3種類の会議(通常国会、特別国会、臨時国会)があります。それぞれの目的や会期については以下の記事で詳しく解説しています。
国会の日程:国会ではいつ・何の議題が話し合われているのか?国会議員はどんなスケジュールで動いている?
内閣の役割(行政機関として)
- 法律の執行
国会で決まった法律を具体的に実行する責任を負います。 - 行政機関の指揮監督
各省庁を管理し、政策を実施します。 - 外交と条約の締結
外交方針を決定し、国会の承認を得たうえで条約を締結します。
なお、内閣総理大臣の役割については以下の記事で詳しく解説しています。
内閣総理大臣の役割とリーダーシップ:長期政権と短命政権の違いを実例をまじえて解説
国会と内閣の関係性を簡単に説明
国会は内閣を監視し、内閣は国会の信任に基づいて成立します。特に衆議院が内閣不信任案を可決すると、内閣は総辞職するか、衆議院を解散して総選挙を行う必要があります。
このように、両者は憲法に基づいて相互に影響し合う関係にあります。
なお、国会と内閣の関係性について以下の記事で詳しく解説しています。
国会と内閣の本当の関係性:平常時と緊急時の相互依存と牽制の歴史を具体例をまじえて解説します
内閣の連帯責任とは?その仕組みを解説

連帯責任の意味と法律での位置づけ
- 連帯責任とは、内閣を構成する全ての大臣が政策や行動について共同で責任を負うことを指します。個々の大臣だけでなく、内閣全体としての行動が問われます。
- 日本国憲法第66条で「内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う」と定められています。
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
日本国憲法第66条より引用
内閣総辞職や不信任案との関係
国会(特に衆議院)が内閣不信任案を可決した場合、内閣は総辞職するか、衆議院を解散するかを選ばなければなりません。
この場合、連帯責任の原則に基づき、内閣総理大臣を含むすべての閣僚が責任を負います。
なお、内閣不信任決議については以下の記事で詳しく解説しています。
内閣不信任決議とは?わかりやすく解説!衆議院解散の理由:不信任決議が可決された歴代内閣4つを紹介
内閣の連帯責任を具体例で解説
過去の事例
- 田中角栄内閣のロッキード事件(1972年)
田中角栄内閣が汚職事件で批判を受け、不信任案が可決されないまでも内閣総辞職に追い込まれた。内閣全体が責任を取る姿勢を示した例といえます。 - 宇野内閣の総辞職(1989年)
- 1989年、宇野宗佑首相が率いる内閣がわずか69日間で総辞職しました。この背景には、リクルート事件などの汚職問題やスキャンダルによって政府への信頼が大きく揺らぎ、参議院選挙での自民党の大敗がありました。この敗北を受けて、内閣全体が国民からの信任を失い、総辞職する形となりました。
これらの事例は、内閣全体が一体となって国民の信頼を得る必要があることを示し、信頼を失った場合には連帯して責任を取る仕組みが機能した例といえます。
内閣が総辞職する場合と衆議院解散を選ぶ場合の違い
- 内閣総辞職
内閣が自ら責任を取り辞職することで、国民に信頼を失ったことを示します。 - 衆議院解散
衆議院を解散して総選挙を行い、国民の意思を問い直す方法です。政治的に内閣の立場を強化する場合に選ばれることがあります。
なお、衆議院解散について、以下の記事で詳しく解説しています。
衆議院の解散はなぜやるのか?:郵政解散やハプニング解散などの実例を上げながら解説します
国会と内閣の違いを整理
国会議員と内閣総理大臣の違い
- 国会議員: 国民から選ばれる代表者で、主に立法活動を行います。
- 内閣総理大臣: 国会議員の中から選出され、行政の最高責任者として政策を指揮します。
立法と行政の役割の違い
- 立法: 国会が法律を作り、行政の方針を決定します。
- 行政: 内閣がその法律に基づいて政策を実行します。
憲法で定められた国会と内閣の位置づけ
- 国会: 憲法第41条で「国権の最高機関」とされ、国の意思決定を担います。
- 内閣: 憲法第65条で行政権が内閣に属すると定められています。
内閣の連帯責任が果たす役割と課題
国会と内閣の信頼関係を維持する重要性
国会と内閣の信頼関係が強固であることで、安定した行政運営が可能となります。連帯責任の原則により、内閣は政策の実行に対して責任を持ちます。
連帯責任における課題や現代政治の状況
- 大臣個人の問題が内閣全体の責任に発展することも多く、政治的リスクが高まる傾向にあります。
- 現代ではメディアやSNSの影響で、内閣の連帯責任が迅速に問われることが増え、対応が難しくなっています。
国会と内閣に関するQ&A
Q1: 国会とは何ですか?
A: 国会は日本の立法機関で、国民の代表である国会議員が集まり、法律を制定したり、予算を決定したりします。また、内閣総理大臣を指名し、行政を監視する役割も持っています。
Q2: 内閣とは何ですか?
A: 内閣は日本の行政機関で、内閣総理大臣と国務大臣によって構成されます。法律や予算をもとに行政を執行し、政策を実現する役割を担っています。
Q3: 国会と内閣の違いは何ですか?
A: 国会は法律を作る「立法機関」であり、内閣はその法律を実行する「行政機関」です。国会は内閣を監視する権限を持ち、内閣は国会の信任を得る必要があります。
Q4: 内閣の連帯責任とは何ですか?
A: 内閣の連帯責任とは、内閣の構成員全員が内閣の決定や行動について共に責任を負うことです。一部の大臣だけでなく、内閣全体が責任を取る仕組みです。
Q5: 内閣不信任案が可決されるとどうなりますか?
A: 内閣不信任案が可決されると、内閣は「総辞職」するか、「衆議院を解散」して総選挙を行うかのどちらかを選ぶ必要があります。
Q6: 内閣の連帯責任の具体例はありますか?
A: 1972年のロッキード事件が有名です。この事件では、内閣が国民の信頼を失い、総辞職しました。このように、内閣全体で責任を取ることが連帯責任の具体例です。
Q7: 国会議員と内閣総理大臣の違いは何ですか?
A: 国会議員は法律を作る立場で、国会の代表です。一方、内閣総理大臣は行政の最高責任者として政策を実行する立場にあります。
Q8: 国会と内閣の関係を簡単に説明してください。
A: 国会は内閣総理大臣を指名し、内閣を監視します。一方で、内閣は国会の決定を実行に移し、国民の生活を支える役割を果たします。このように、両者は相互に依存しています。
Q9: 憲法で国会と内閣の関係はどのように定められていますか?
A: 日本国憲法では、国会を「国権の最高機関」とし、内閣はその信任を得て行政を執行すると定められています(第41条および第66条)。
Q10: 連帯責任における課題とは何ですか?
A: 内閣の連帯責任は、責任の所在が曖昧になる場合や、個々の大臣の意見が反映されにくくなるという課題があります。また、総辞職や解散が政治の混乱を招く可能性もあります。
まとめ
国会と内閣は、それぞれ立法と行政という異なる役割を担いながら、密接に連携しています。
内閣には「連帯責任」が課されており、不信任案が可決されると総辞職や解散総選挙に進む仕組みがあります。
本記事で取り上げた具体例を通じて、この関係性の重要性や現代の課題について深く理解できれば幸いです。今後の政治ニュースを見る際にも役立ててください。
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