日本には地方議員が3万人ほどいます(総務省-地方議会議員数の推移より)。
地方議員は地域住民の生活に直結した政策を立案し、行政に提言を行う重要な役割を担っています。
近年では、地方自治の充実や地域活性化が求められる中で、その存在意義がますます高まっています。
本記事では、地方議員を目指すための基本ステップから、具体的な仕事内容や収入実態、さらにはやりがいと課題までを徹底解説します。地方議員を目指す方や興味を持つ方に役立つ情報を提供します。
※関連記事:政治家になるにはどうすればいいか【国会議員】:資格はいる?年齢制限は?お金はどれくらいかかる?
- 地方議員(県会議員・市町村議員)になるための基本ステップ
- 地方議員(県会議員・市町村議員)に多い政党とその理由
- 地方議員(県会議員・市町村議員)の年収や待遇の実態
- 地方議員(県会議員・市町村議員)のやりがいと課題
- 政治家に必要な資質・能力
- 地方議員(県会議員・市町村議員)についてのQ&A
- Q1: 地方議員(県会議員・市町村議員)とはどのような役割を持つ仕事ですか?
- Q2: 地方議員(県会議員・市町村議員)になるためにはどのような資格が必要ですか?
- Q3: 地方議員(県会議員・市町村議員)の選挙制度はどのようになっていますか?
- Q4: 無所属と政党所属の地方議員では何が違いますか?
- Q5: 地方議員(県会議員・市町村議員)の年収はどれくらいですか?
- Q6: 地方議員(県会議員・市町村議員)の選挙活動にはどのような準備が必要ですか?
- Q7: 地方議員(県会議員・市町村議員)のやりがいとは何ですか?
- Q8: 地方議員(県会議員・市町村議員)の活動にはどのような課題がありますか?
- Q9: 地方議員(県会議員・市町村議員)を目指す際に最初にすべきことは何ですか?
- Q10: 地方議員(県会議員・市町村議員)になるために必要な資金はどれくらいですか?
- まとめ
地方議員(県会議員・市町村議員)になるための基本ステップ
地方議員の役割と選挙制度の基本
地方議員とは何をする人か?
地方議員は、地域の政策決定に関わる存在です。条例の制定や予算の承認、行政の監視などを行い、住民の利益を守ることが主な仕事です。
また、地域の声を行政に届けるための橋渡し役としても重要な役割を果たします。
選挙区と定数、選挙制度の仕組み
地方議員の選挙は、自治体ごとに定数が設定されています。定数は人口に応じて異なり、選挙区の規模や制度に影響を与えます。
また、選挙制度には小選挙区制や大選挙区制などがあり、候補者の戦略にも影響を与えます。
国政選挙の選挙区制については以下の記事で詳しく解説しています。
小選挙区制のメリット・デメリット:政治参加と選挙結果への影響を過去の政権交代の事例を紹介しながら解説
比例代表制と選挙区制の違いとは? 〜衆議院と参議院における選挙制度の併用を徹底解説〜
無所属と政党所属の違い
地方議員は無所属でも立候補できますが、政党に所属すると選挙支援や政策作成のサポートを受けられる利点があります。一方で、政党に縛られず自由に活動したい場合は無所属が適しています。
無所属・政党所属・諸派の違いについて以下の記事で詳しく解説しています。
諸派とは何か?諸派のメリット・デメリット、存在意義、主要政党や無所属との違いを解説します
地方議員になるための資格や要件
政治家は資格の必要な仕事ではありません。ですが、日本で政治家になるには以下の要件を満たす必要があります。総務省のHPから抜粋します。
議員の種類 | 備えていなければならない条件 |
衆議院議員 | 日本国民で満25歳以上であること |
参議院議員 | 日本国民で満30歳以上であること |
都道府県知事 | 日本国民で満30歳以上であること |
都道府県議会議員 | 日本国民で満25歳以上であること |
引き続き3ヶ月以上その都道府県内の同一の市区町村に住所のある者(引き続き3ヶ月以上その都道府県内の同一市区町村に住所を有した後、引き続き同一都道府県内の他の市区町村に住所を移した場合も含む) |
日本国籍があり、25歳以上になればだれでも立候補できます。ただし、都道府県知事は30歳以上が年齢要件です。
出馬方法
候補者として出馬するためには、政治資金規正法に基づき、選挙管理委員会に届け出を行う必要があります。具体的な手続きは、各地方選挙管理委員会の指示に従います。
政党に属する必要はあるのか
地方議員になるためには、特定の政党に属する必要はありません。無所属で立候補することも可能です。
立候補届け出の期限と場所
選挙管理委員会への届け出の期限は、選挙の期日の公示または告示があった日の午前8時半から午後5時まで(休日平日問わず)。
候補者自ら届け出るか、代理人でも届け出は有効です。
届け出に必要な費用(供託額)
立候補の届け出には一定額の現金か国債証書を法務局に納める必要があります。
当選する意思のない、売名行為やイタズラを防ぐためです。
金額は以下の画像のとおりです(総務省HPより)。
地方自治体の規模によって異なり、15万円~300万円と幅があります。
300万円だと大金に思えますが、15万円だとPCを1台買うぐらいの金額です。安くはないですが、政治家になるための登録料としては高すぎることはないように思います。
選挙活動の進め方
選挙に向けた準備:後援会の設立と資金集め
選挙活動の基盤となるのが後援会の設立です。後援会は資金集めや有権者との関係構築に欠かせない組織です。信頼される人脈作りも重要です。
選挙活動に補助費を出してくれる制度を設けている自治体もあります。金額は自治体によって異なりますが、100万円ほど補助してくれるところもあります(かすみがうら市など)。
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選挙活動の具体的な流れ:政策作成と広報戦略
立候補者は、自分の政策を明確にし、有権者にアピールする広報活動を行います。SNSや選挙演説など、時代に合った広報戦略が求められます。
公約づくり
選挙で当選するには公約が欠かせません。公約は有権者への約束であり、立候補者の活動方針です。
人口減少対策や地方創生が大きなテーマになることが多く、そのための子テーマとして「教育」「子育て世代の誘致」「企業誘致」「観光客誘致」「伝統産業のアップデート」などが多いです。
政党の支援を得るメリットと方法
政党に所属すると、選挙資金やスタッフの提供を受けられるほか、政党のブランド力を活用して有権者に訴求できます。しかし、政党の政策に従う必要があるため、自分の意見との調整が必要です。
当選に必要な票の割合
当選に必要な票の割合は、各選挙区の有権者数や競争状況によってかなり異なります。
村長や村会議員のなり手がおらず、立候補したらほかに候補者がいない(必ず当選する)場合もあります。
逆に東京都知事のように毎回20人ほどが立候補するような地方選挙もあります。
地方議員(県会議員・市町村議員)に多い政党とその理由
地方議員の9割近くはいずれかの政党に所属しています。
地方議会で多い政党とは?
自民党や公明党などの支持基盤
地方議会では、自民党や公明党が多くの議席を占めることが一般的です。これらの政党は組織力が強く、選挙戦を有利に進めることができます。
無所属が多い地域もある理由
地域によっては無所属議員が多数を占める場合もあります。特に小規模自治体では、政党よりも個人の信頼関係が重視されるためです。
政党所属のメリット・デメリット
政党の支援を受けることで得られる支援とは?
政党に所属することで、選挙資金の提供や選挙運動の支援を受けることができます。また、議会活動においても政党内の協力体制が期待できます。
無所属議員の自由さと課題
無所属で活動する場合、政党の縛りがないため自由に意見を述べられますが、選挙戦や議会活動における支援が乏しいという課題があります。
地方議員(県会議員・市町村議員)の年収や待遇の実態
前述のように、政治家になるにはお金も労力もかかります。借金をしたり家を売ったお金で政治家を目指す人もいます。
借金をしてようやく政治家になっても、借金で首が回らなくなってしまったら政治活動どころではなくなります。
そこで、政治家になるとどれくらいの年収になるのかまとめました。
地方議員の年収は700万円から1000万円(地域差あり)
地方議員の年収は、700~1000万円です。政令指定都市だと1000万円を超えますが、人口の少ない地域だと700万円程度のところもあります(東京経済オンラインより)。
役職手当がある
特に差が開くのが「議長」などの役職についた場合です。政令指定都市では議長になると年収2000万円になりますが、ほとんどの市区町村では議長になっても「プラス50~100万円」ほどです。
年収1000万円は高額に感じるかもしれませんが、600万円かけて選挙活動をして政治家になっています。
その間の生活費もかかるので、年収1000万円では足りないという人が多いかもしれません。
他の公務員や職業との収入比較
地方議員の年収は一般的な公務員と比較してやや高い傾向にありますが、民間企業の役員などと比較すると低い場合もあります。
地方議員の報酬以外の待遇
活動費や手当、年金制度の仕組み
地方議員には、報酬以外に活動費や交通費が支給される場合があります。また、一定期間在職すると年金制度の対象となる場合があります。
地方議員としての活動にかかる経費
議会活動に伴う経費や選挙後の活動費は議員個人で負担することが多く、十分な資金管理が必要です。
地方議員(県会議員・市町村議員)のやりがいと課題
地方議員(県会議員・市町村議員)としてのやりがい
地域社会への貢献や政策への影響力
地方議員は地域の課題を直接解決し、住民の生活を改善するやりがいがあります。政策を通じて地域社会に影響を与えることが可能です。
有権者との交流や信頼関係の構築
地域住民と直接関わることで、信頼関係を築き、選挙や議会活動に生かせるのも魅力の一つです。
地方議員の課題と向き合い方
厳しいスケジュールや収入面の制約
地方議員は、議会活動だけでなく地域活動も求められるため、多忙なスケジュールに追われます。また、収入面での不安も課題です。
議会活動以外の負担やプライバシー問題
地域での活動が多いため、プライバシーの確保が難しい場合があります。また、住民からの様々な要望に応える必要があり、精神的な負担も大きいです。
政治家に必要な資質・能力
お金の話をしましたが、肝心なのは政治家としていかに活躍できるか(=政治を良くできるか)です。政治家に必要な資質・能力は何でしょうか。
リーダーシップ
政治家には強いリーダーシップが求められます。国民の生活に何が必要かを判断し、困難な状況でも冷静に判断し、適切な行動を取る能力が必要です。
コミュニケーション能力
国民に必要なものを判断して実行するには、高いコミュニケーション能力も求められます。
有権者や他の政治家、メディアと効果的にコミュニケーションを取り、何をすべきかを判断して相手に伝えて説得する必要があるからです。
明確で説得力のある話し方や、聴く力がある人が活躍できます。
発信力
地方議員には地域住民への発信力も求められます。
国政選挙への関心のうすれが指摘されて久しいですが、地方政治になるとさらに深刻です。投票率は平均して50%を切っています(NHKより)。
SNSの活用など、伝統的な広報活動にとらわれない手法も求められています。
地方議員(県会議員・市町村議員)についてのQ&A
Q1: 地方議員(県会議員・市町村議員)とはどのような役割を持つ仕事ですか?
A: 地方議員は、市区町村や都道府県の議会で地域住民の意見を代弁し、政策や予算の決定、行政のチェックを行います。また、地域課題を発見し、解決するための提案を行う役割も担っています。
Q2: 地方議員(県会議員・市町村議員)になるためにはどのような資格が必要ですか?
A: 地方議員になるには、以下の条件を満たす必要があります:
- 満25歳以上(市区町村議会の場合)または満30歳以上(都道府県議会の場合)。
- 選挙区内に一定期間居住していること(多くの場合、3か月以上)。
- 公職選挙法で定められた被選挙権を持つこと。
Q3: 地方議員(県会議員・市町村議員)の選挙制度はどのようになっていますか?
A: 地方議員の選挙は、選挙区ごとに定められた定数(議員の人数)に基づき、個人を直接選ぶ仕組みです。主に小選挙区制や中選挙区制が採用されており、得票数が多い順に当選が決まります。
Q4: 無所属と政党所属の地方議員では何が違いますか?
A: 無所属議員は政党の影響を受けない自由な活動が可能ですが、選挙戦略や活動資金の面で支援を受けにくい場合があります。一方、政党所属議員は政党の支援や知名度を活用できますが、政党方針に従う必要がある場合があります。
Q5: 地方議員(県会議員・市町村議員)の年収はどれくらいですか?
A: 地方議員の年収は地域によって異なりますが、平均的な市区町村議会議員で約400万円~700万円、都道府県議会議員で約800万円~1,500万円とされています。都市部の方が高い傾向があります。
Q6: 地方議員(県会議員・市町村議員)の選挙活動にはどのような準備が必要ですか?
A: 選挙活動では以下の準備が重要です:
- 後援会の設立と資金集め。
- 政策の作成と広報戦略の策定。
- ボランティアや支援者の確保。
- 政党支援を受ける場合は、事前に協議や手続きが必要。
Q7: 地方議員(県会議員・市町村議員)のやりがいとは何ですか?
A: 地域住民の意見を政策に反映させることや、地域課題を解決することで社会に貢献できる点が挙げられます。有権者との直接的な交流を通じて信頼関係を築くこともやりがいの一つです。
Q8: 地方議員(県会議員・市町村議員)の活動にはどのような課題がありますか?
A: 地方議員の主な課題には、以下のようなものがあります:
- 議会活動以外の地域行事や住民対応の負担。
- 報酬が少ないため、副業や兼業が必要な場合がある。
- プライバシーが制約されることや批判への対応。
Q9: 地方議員(県会議員・市町村議員)を目指す際に最初にすべきことは何ですか?
A: まずは地域住民の声や課題をよく理解し、自分が解決したい問題や目指す政策を明確にしましょう。その後、後援会の設立や資金計画を立て、選挙活動に備えることが大切です。
Q10: 地方議員(県会議員・市町村議員)になるために必要な資金はどれくらいですか?
A: 選挙に必要な資金は地域や規模によって異なりますが、数百万円から1千万円程度が一般的です。特に広報活動や選挙運動のための費用が大きな割合を占めます。
まとめ
政治家になるためには、25歳以上で日本国籍、都道府県知事なら30歳以上で日本国籍を有している必要があります。
選挙の届け出には15万円から300万円の供託金を納めておく必要もあります。選挙活動にも500~600万円程度は見込んでおく必要がありますが、自治体によっては選挙活動に補助費を支給してくれるところもあります。
また、公約を作成し、有権者に認められる政策提案に向けた準備と支持を得る努力が必要です。
また、以下の本が分かりやすく、おすすめです。
おいしい地方議員 ローカルから日本を変える!
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