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大きな政府と小さな政府の違いとは?経済指標や事例で解説:日本は大きな政府小さな政府どっち?

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まとめ
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「大きな政府」と「小さな政府」は、政府の役割や経済政策に関する重要な概念です。これらの考え方は、政治や経済の背景によって変わることがあり、国によって実施される政策もさまざまです。

本記事では、大きな政府と小さな政府の定義やそれぞれの特徴、歴史的背景、実際の例を交えて詳しく解説します。

また、日本がどちらの政府の特徴を持っているのかについても考察します。

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大きな政府とは何か?

大きな政府とは、経済や社会保障において、政府が積極的に関与することを重視した政策方針です。

教育、福祉、医療の提供や、インフラ整備などの分野に税金を投じ、国民生活の安定や格差是正を目的としています。

公共事業の多さや広範な社会保障は、経済成長の支えにもなり、特に社会的弱者に手厚いサポートが行われます。

大きな政府のメリット

大きな政府には、「景気の安定化や貧困・失業の軽減、格差の是正」といったメリットがあります。

景気が悪化した際に、公共事業などで雇用を創出し、消費を促進することで、経済に安定性をもたらす役割があります。

また、社会福祉の充実によって、低所得者層や高齢者の生活が保障されるため、国民の生活が安定します。

大きな政府のデメリット

政府の積極的な支出には、「増税や国の財政負担」が伴います。経済活動の大きな割合が公的資金に依存するため、民間部門の活力が減少しやすい点もデメリットの一つです。

また、効率の悪い運用が行われるリスクがあり、税金の適切な使途が問われることも多く、財政の健全性を損なう可能性もあります。

小さな政府とは何か?

小さな政府は、政府が経済や社会保障分野への介入を最小限にとどめ、個人や企業の自由な活動を尊重する方針です。

政府が担う役割は限定され、国民の自立や民間の活力を重視した政策が取られます。これにより、政府の規模が小さく、民間主導の経済成長が促進されます。

小さな政府のメリット

小さな政府には、「政府の支出や税率の抑制により、経済の効率化を図る」というメリットがあります。

民間の自由な経済活動が活発になることで、企業の競争が促され、イノベーションが生まれやすくなります。税負担が軽減されるため、個人や企業の負担も少なくなる点が特徴です。

小さな政府のデメリット

逆に小さな政府には、「貧富の格差や失業率の上昇」といったデメリットもあります。

社会保障の役割が限定されているため、社会的弱者に対するサポートが薄くなる可能性があります。また、景気が不安定な際に、政府の積極的な支援が期待できず、国民生活に影響を与えることもあります。

大きな政府の例

大きな政府の例として、日本、フランス、スウェーデンが挙げられます。

日本

日本は高齢者への社会保障や医療制度の充実に力を入れ、大きな政府を維持しています。公共事業や福祉予算が膨大で、経済の安定と国民の生活保障を重視した政策が特徴です。

フランス

フランスでは失業対策や教育、福祉が充実し、国民の生活を支える政策が多いことから、大きな政府の性質を持ちます。高税率が財源となり、社会の平等性が重視されています。

スウェーデン

スウェーデンは国民の医療や教育、福祉が充実しており、高い社会保障と平等な社会を目指しています。税率は高いですが、豊かな福祉と高い生活水準が保たれています。

小さな政府の例

小さな政府の例として、アメリカ、シンガポール、オーストラリアを挙げます。

アメリカ

アメリカは小さな政府を志向し、自由市場に重きを置いて政府の経済介入を最小限に抑えています。社会保障や公共サービスは必要最低限で、個人の自己責任が基本です。

アメリカは伝統的に民主党と共和党の2大政党政治ですが、なかでも共和党が小さな政府の方針を取っていることで知られています。

※関連記事:民主党と共和党の違いと特徴:政策や支持層の違い、近年の政策、歴代大統領の比較(一覧)

シンガポール

シンガポールは企業活動の自由を尊重し、税率を低く抑えることで経済成長を推進しています。政府支出は限定的で、民間の活力を引き出す政策が特徴です。

オーストラリア

オーストラリアは政府の支出を抑えつつ、民間の雇用と成長を重視します。福祉支援はあるものの、市場の自律性と競争を奨励する政策が主流です。

大きな政府・小さな政府の歴史的背景

大きな政府・小さな政府はそれぞれ過去の経済状況や政治的背景がベースとなっています。

大きな政府とその歴史的背景

大きな政府の考え方は、特に1930年代の世界恐慌を契機に広まりました。アメリカのニューディール政策が代表で、政府が積極的に経済に介入し雇用や社会保障を整備することで、経済成長と安定を目指しました。

国民を引っ張るアメリカ大統領

この時期に、国家が福祉や公共サービスの提供に役割を果たすべきだという考えが支持されるようになりました。

※関連記事:アメリカ大統領の一覧(民主党)

小さな政府と自由主義の影響

小さな政府の考えは、自由主義と深く結びつき、特に1980年代のレーガン米政権やサッチャー英政権によって強化されました。

経済活動は市場に任せ、税負担や政府支出を抑えることで、個人や企業の自由な活動を促進する思想です。これは、政府の介入を減らし、民間の競争や効率性を重視する考え方に基づいています。

※関連記事:アメリカ大統領の一覧(共和党)

大きな政府と社会的安全網

大きな政府を志向する国々では、福祉や医療、年金制度などの社会的安全網の整備が重視されます。

特にスウェーデンやデンマークなどの北欧諸国は、国民に高い税率を課す代わりに手厚い社会保障を提供する「福祉国家」モデルを採用し、社会全体の安定と平等を図っています。

小さな政府の思想的根拠と個人主義

小さな政府の根拠には、個人の自己責任や自由が重要視されています。国が介入することで生じる非効率を避け、経済活動は個人や市場に委ねるべきだという考え方が背景にあります。

自由市場経済を支持する人々は、政府の役割を最小限に抑え、民間の活力を最大化することで社会の成長を促進しようとしています。

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大きな政府・小さな政府の経済的な指標やデータ

「大きな政府」と「小さな政府」を経済指標やデータで比較するため、税率、政府支出の割合、福祉政策のデータを以下にまとめました。

数値低下を表すグラフ

所得税率

大きな政府(例:フランス、スウェーデン)は、高い所得税率や社会保険料率を導入していることが多く、特に高所得者層に高い税負担を課しています。フランスの最高所得税率は45%で、追加で社会保障の税負担もあります。

一方、小さな政府(例:アメリカ)は、税率が比較的低めで、2024年のアメリカの最高所得税率は37%で、社会保障の支出も限定的です。

なお、日本の最高所得税率は45%で、日米英仏独の5か国のなかでは平均的です。ただし、地方税も含めると最も高額です(財務省「主要国における所得税率の推移」より)。

政府支出の割合

フランスやスウェーデンなどの大きな政府では、政府支出がGDPに占める割合が高く、フランスでは約55%、スウェーデンは49%に達します。一方、アメリカでは政府支出のGDP比は38%です。

公共支出がGDPに占める割合が多い国ほど、医療、教育、福祉サービスなどでの政府支出が充実しています。

なお、日本は39%です。

参考:財務省「諸外国の支出と税収の規模はどうなっているのか?」

公共支出と福祉政策

OECD諸国のデータによると、スウェーデンやフランスなどの大きな政府は社会的支出(社会保障費)に大きく依存しており、フランスの社会支出はGDPの32%近くに達しています。

一方、小さな政府では社会的支出の割合が低く、アメリカではわずか17%に留まっています。

参考:財務省「諸外国の支出と税収の規模はどうなっているのか?」

日本は大きな政府小さな政府のどちらなのか?

日本は一般的には「小さな政府」とされることが多いですが、特定の側面では「大きな政府」との特徴も見られます。以下にそれぞれの側面を解説します。

国会議事堂(日本)

小さな政府の側面:税率と支出

日本の法人税や所得税は他の先進国に比べて相対的に低いとされ、政府支出もGDPの約39%と、比較的控えめです。

政府の経済介入が控えめで、市場主義を重視しているため、企業の自由な活動が促されています。

大きな政府の側面:社会保障制度、公共サービス

日本は充実した社会保障制度を持ち、年金や医療、介護などの分野では政府の支出が多く、国民に対する支援が手厚いです 。

また、公共サービスによる関与が高く、これらは「大きな政府」の特徴とも言えます 。

なお、「近年では地方のことは地方に委ねる方針」を政府がとっており、財源移譲や都道府県知事や市町村長といった首長との懇談会も盛んにおこなわれています。

首長については以下の記事で詳しく解説しています。
首長とは?その役割や地方議会とのリアルな関係、解任請求や現代までの変遷を徹底解説

結論

日本は基本的には「小さな政府」に分類されることが多度や公共サービスの充実度から見ると、「大きな政府」の要素も持ち合わせている複雑な状態にあります。

経済政策や財政の実態に応じて、この評価は変わることもあるため、文脈によって理解することが重要です。

なお、公共サービスに関する政策は世論の影響を大きく受けます。世論について以下の記事で詳しく解説しています。
世論とは何か?その役割や政策に与える影響力、形成されるプロセスと調査方法をくわしく解説

まとめ

大きな政府と小さな政府は、政府が経済にどのように関与するかに基づく概念であり、それぞれ異なる政策や影響を持っています。

大きな政府は社会福祉や公共サービスに重点を置き、小さな政府は市場原理を重視します。歴史的背景や国の実例を通じて、これらの概念を深く理解することが重要です。

日本においても、どちらの側面が強いかを考えることで、現代の政策形成に役立てることができます。

【参考】
公益社団法人 日本経済研究センター
日本経済新聞
日本総研
第一生命経済研究所

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