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ねじれ国会とは:法案成立など国会運営に及ぼす影響などメリット・デメリットや過去の実例を解説

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国会議員 政治活動
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ねじれ国会とは、衆議院と参議院で多数派が異なる状態を指し、法案の成立や国会運営に大きな影響を及ぼします。

日本の政治において、何度も経験されてきたねじれ国会には、与党と野党の対立が深まる一方で、慎重な議論が行われるなどのメリットもあります。

本記事では、ねじれ国会がどのように国会運営に影響を与えるのか、そのメリットとデメリット、そして過去の実例を通じてわかりやすく解説します。

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ねじれ国会とは

「ねじれ国会」とは、衆議院と参議院で多数派を占める政党が異なる状態を指します。

具体的には、「衆議院で与党が多数を占めていても、参議院では野党が多数を占めている状況」です。

このようなねじれた状況になると、与党が提出した法案が参議院で否決される可能性が高まり、スムーズに法案が成立しなくなります。

ねじれ国会が生じる原因

衆議院と参議院の選挙制度の違いが、ねじれ国会を生み出す大きな要因です。

例えば、衆議院では解散があるため政権交代が起こりやすく、参議院は解散がなく6年の任期で安定しているため、選挙タイミングによって政党勢力が異なる状況が生まれます。この違いが、ねじれの一因になっています。

ねじれ国会は、日本の政治体制において特に注目される現象であり、二院制の特徴でもあります。歴史的には、参議院選挙で与党が過半数を割り込むことでねじれ国会が生じることが多く、政権運営に大きな影響を及ぼします。

ねじれ国会のメリット

ねじれ国会にはいくつか大きなメリットがあります。以下、メリットを紹介します。

チェック機能の強化

ねじれ国会では、衆議院と参議院で異なる政党が多数を占めるため、一党独裁や独走を防ぐ役割を果たします。

与党が提出した法案や政策が、野党の強い監視下に置かれ、慎重に審議されることで、よりバランスの取れた政策が生まれる可能性が高まります。

※関連記事:政治派閥とは:派閥のメリット・デメリットや無派閥との違いを解説し、派閥の歴史を振り返ります

多様な意見の反映

ねじれ国会は、多様な政治的意見が法案審議に反映される仕組みです。与党だけでなく、野党の意見も積極的に取り入れる必要があるため、国民の幅広い意見が反映されやすくなります。

これは特に、参議院が「良識の府」として長期的な視点で議論を進める役割を持つことにより、バランスの良い法案形成が期待されます。

※関連記事:国会議員の人数(衆議院・参議院の定数):定数削減に関する議論やその必要性について解説します

急進的な政策の抑制

与党が衆議院で大多数を占めていても、参議院で野党が抑制役として働くことで、急進的な政策や急な制度変更が抑えられることがあります。

ねじれ国会では、一部の議員や与党だけで強引に進められる可能性のある政策を、再度検討する機会が生まれやすくなります。

※関連記事:国会の仕事:国会の役割(唯一の立法機関)と構成(二院制や与党・野党の役割)を解説

政党間の対話促進

ねじれ国会の状況では、与党と野党が協力しなければ法案が成立しにくいため、政党間の対話や交渉が促進されます。

与野党間の対話が増えると政策の合意形成が進み、国会運営全体の透明性や責任感が高まることも期待されます。

ねじれ国会のデメリット

逆にねじれ国会にはデメリットも存在します。以下に、デメリットを紹介します。

政策の停滞

ねじれ国会では、法案が参議院で否決されることが多いため、政策の進行が大幅に遅れることがあります。

特に、緊急性の高い法案や予算案の成立が遅れると、経済や社会全体に悪影響を及ぼすことがあります。

この遅延は、必要な政策実行が遅れる要因となり、政府の機能が低下する恐れがあります。

政治の不安定化

ねじれ国会によって与党が重要な法案を成立させられない状況が続くと、政権運営が不安定になり、内閣支持率の低下や総辞職、解散総選挙といった事態を招くことがあります。このような不安定な状況が長引くと、国民の政治不信を招く恐れもあります。

※関連記事:内閣不信任決議:不信任決議が可決された日本の歴代内閣4つとその経緯を紹介

与党の政策実行力の低下

ねじれ国会では、与党が掲げた政策が実行に移せないことが多く、与党の政策遂行能力が損なわれる可能性があります。

国民が選挙で支持した与党が、参議院の反対で政策を実行できない状況は、国民にとっても政治に対する期待を裏切る結果となることがあります。

政治的取引の増加

ねじれ国会では、法案を成立させるために与野党間で取引や妥協が必要になります。これが時には建設的な妥協を生むこともありますが、逆に不透明な政治的取引が横行し、政策の本質が損なわれるリスクも存在します。

参議院の重要性に対する議論の増加

ねじれ国会が続くと、参議院の役割について議論が高まり、「参議院の存在意義や役割」について疑問が投げかけられることもあります。

特に、ねじれが原因で政策が進まないと、参議院の存在自体に対して一院制にすべきという主張が強まることがあります。

※関連記事:参議院の定数の変遷:参議院の人数が変化してきた経緯とその目的を解説します

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ねじれ国会で法案が成立しにくい理由

法案が成立しにくい理由は、衆議院と参議院が異なる政治勢力で構成されているためです。

参議院での否決

通常、政府や与党が提出する法案は、まず衆議院で審議され、可決されれば次に参議院に送られます。

衆議院で可決

参議院で審議

参議院で可決されれば法案成立

しかし、ねじれ国会では「参議院の多数派が野党」であるため、与党が進めようとする法案が参議院で否決される可能性が高まります。

法案が否決されると、その法案が成立するまでに時間がかかり、政策の実行が遅れることがあります。

法案修正や再提出の必要性

参議院で法案が否決された場合、政府や与党は参議院の意見を反映させるために法案の修正や再提出を余儀なくされることがあります。

これにより、法案の成立までの時間がさらに延びることが多いです。与野党間の交渉が難航する場合、法案自体が廃案になるケースもあります。

衆議院での再議決

憲法では、衆議院が再度3分の2以上の賛成で可決すれば、参議院での否決を覆すことができます(衆議院の優越)。

※関連記事:衆議院の優越とは:衆議院に強い権限がある理由や優越権限6つの内容を紹介

ただし、この再議決は非常に高いハードルであり、衆議院で与党が絶対多数を持っていなければ難しいため、ねじれ国会の影響下では実際に使われることは限られています。

政権運営の不安定化

法案の審議が進まないと、国民に政府の政策実行能力に疑問が持たれ、政権の支持率が低下することがあります。

ねじれ国会は与党にとって政権運営の足かせとなり、場合によっては解散総選挙や政権交代に繋がることもあります。

国会が衆議院と参議院に分かれている理由

日本の国会が二院制(衆議院と参議院)を採用している理由は、「バランスの取れた政策決定と慎重な法案審議」を行うためです。

二院制は、異なる性質を持つ二つの議院が相互に監視し、政治的な暴走を防ぐ役割を果たしています。

衆議院の役割

衆議院は、国民の意思を反映させるための機関です。定数が多く、解散権もあるため、民意を迅速に反映することが期待されています。

法案審議のスピードが速い一方で、「民意に左右されやすい」という特徴があります。

参議院の役割

参議院は、衆議院で決定された事項を慎重に再審議する役割を持っています。任期が6年で解散がないため(3年ごとに半数が改選)、より長期的で安定した視点からの審議が可能です。

このことから参議院は「良識の府」とされ、衆議院での決定が短期的・感情的に流れるのを防ぐ役割も担っています。

このように、二院制は短期的な民意と長期的な視点をバランス良く取り入れるために設けられています。しかし、ねじれ国会が発生すると、二院制のチェック機能が過剰に働き、法案の成立が遅れることがあります。

ねじれ国会を解消するための手段

ねじれ国会を解消するための手段として、いくつかの具体的な方法が考えられます。

どの方法も政治的な動きや選挙制度に関連しており、状況に応じた対応が必要です。以下に、主な手段を挙げて説明します。

衆議院の解散と総選挙

衆議院の解散は、ねじれ国会を解消するための最も一般的な手段です。

与党が衆議院で多数を占めている場合でも、参議院で野党が多数を持っているねじれが発生すると、政策の進行が難しくなります。この状況で内閣総理大臣が衆議院を解散し、総選挙を実施することで民意を再度確認することがあります。

衆議院選挙で与党が勝てば、参議院でも野党の活動は鈍らざるを得なくなり、ねじれ国会による政権運営の難しさをある程度解消できます。

実際、過去にねじれ国会が発生した際には、内閣が衆議院を解散し総選挙を通じて与党が再び民意を得ることでねじれを解消しようとした例が多々あります。

大連立の形成

大連立とは、与党と野党が協力して政権を組むことで、ねじれ国会を解消する手段です。

与党が参議院で過半数を持っていない場合、野党と協力して政権を運営し、参議院での議決をスムーズに進めるために大連立を組むことが考えられます。

2007年、自民党の福田康夫首相の政権時に民主党・小沢代表との間で大連立の相談が行われましたが、合意に至らなかった例があります(プレジデントオンライン「自民党と民主党「幻の大連立構想」の舞台裏」など参照)。

このように、大連立は難しい交渉がともないますが、国会のねじれを解消するための一つの方法です。

参議院の権限見直し

ねじれ国会を回避するために、参議院の権限を縮小することも議論されています。

たとえば、参議院が衆議院に対して過度な抑制力を持たないように、参議院の役割を見直すことが提案されています。これには、予算や重要法案に対する参議院の拒否権を弱めるなどの制度改革が含まれます。

参議院の権限見直しは、一院制に移行する議論とも関連し、ねじれ国会の解消に向けた重要なポイントです。

選挙制度の改革

選挙制度の改革は、ねじれ国会を防ぐための長期的な手段です。

現在の日本では、衆議院と参議院で異なる選挙制度が用いられており、そのために選挙結果が異なり、ねじれ国会が発生しやすくなっています。

※関連記事:比例代表制と選挙区制の違いとは? 〜衆議院と参議院における選挙制度の併用を徹底解説〜

選挙制度を見なおして、衆議院と参議院の選出方法をより一貫性のあるものにすることで、ねじれの発生を抑えることができます。

たとえば、参議院でも衆議院と同じような小選挙区制を導入するか、比例代表制の比率を見直すことで、両院での政党の勢力図を統一しやすくする方法があります。

公明な政治交渉の促進

ねじれ国会が発生しても、与野党が公明で建設的な交渉を進めることで、法案成立を促進することができます。

特に、国民生活に直接影響を与える重要な政策については、与党と野党が「対立」ではなく、「協調的」に議論を進めることで、ねじれ国会の弊害を軽減することができます。

これには、党派を超えた連携や、政策協議の透明性向上が重要です。

※関連記事:政治派閥とは:派閥のメリット・デメリットや無派閥との違いを解説し、派閥の歴史を振り返ります

特に、ねじれ国会を理由に国民生活が停滞することを避けるため、政策ごとの柔軟な対応が求められます。

過去に実際にあったねじれ国会

日本の歴史上、ねじれ国会は何度も発生しています。代表的な例をいくつか挙げて説明します。

1989年参院選後のねじれ国会

1989年の参議院選挙で与党自民党が過半数を割り込み、ねじれ国会が発生しました。

宇野首相が69日という「歴代ワースト4位の在任期間」の短さで辞任。首班指名選挙で衆議院は自民党の海部俊樹氏、参議院は日本社会党の土井たか子氏と、衆参異なる指名になりました。

1998年参院選後のねじれ国会

1998年の参院選で自民党は大敗し、参議院で過半数を失いました。この結果を受けて当時の橋本龍太郎首相は辞任。

新たな首相を選ぶ指名選挙で、衆議院は自民党の小渕恵三氏を、参議院は民主党の菅直人氏をそれぞれ指名しました。

両院協議会でも一致せず、最終的に衆議院の議決が優先され、小渕氏が首相に就任しました。

その後、自民党は自由党と連立、さらに公明党を加えた連立政権(自自公連立)を樹立することで参議院で過半数を確保し、ねじれ国会を解消しました。

2007年参院選後のねじれ国会

2007年の参議院選挙で与党である自民党が大敗し、参議院で野党が多数を占めることとなり、ねじれ国会が発生しました。

この時期、福田康夫首相(当時)は法案の成立に苦労し、特に年金記録問題や農業政策などで野党から厳しい批判を受けました。

このねじれ国会の影響で、政策が進まなくなり、福田首相は「歴代ワースト4位の内閣支持率」を記録しています。

※関連記事:歴代内閣の最低支持率ランキング:歴代総理のワースト支持率とその理由(不祥事など)を紹介

2010年参院選後のねじれ国会

2010年の参院選で民主党は議席を減らし敗北、自民党が改選で第1党となりました。この結果、連立与党である国民新党を加えても参議院で過半数を維持できず、再びねじれ国会が発生しました。

与党が過半数を割り込んだ一方で、野党も国会召集日までに過半数を結集することができませんでした。そのため、参議院議長は与党である民主党から選ばれ、議事運営のスケジュールを調整する議院運営委員長は野党自民党から選出されるという、異例の状況となりました。

2011年に発足した野田政権は、自民党・公明党との三党合意により、消費税の10%への引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案(消費税増税法案)を可決させました。このように、通常であれば与野党の対立を引き起こすような重要な課題が進展した側面も見られました。

2012年衆院選後のねじれ国会

2012年の衆院選で自民党が圧勝し、自公連立で衆議院の3分の2を占めることになりました。しかし、2010年の参院選で過半数を確保できなかったため、ねじれ国会は依然として解消されていませんでした。

参議院では、安倍晋三首相に対する問責決議の可決や川口順子参議院外務委員長への解任決議の可決など、与野党の対立が続きました。

また、衆議院を通過した定数是正法案が参議院で可決されず、衆議院での可決から60日が経過して「みなし否決」となり、衆議院で再可決される事態も発生しました。しかし、直前の衆院選で自民党が圧勝した影響もあり、審議はおおむね与党主導で進みました。

その後、2013年の参院選で自民党は改選議席121のうち65議席を獲得し、公明党との連立与党全体では76議席を獲得。非改選議席を含めると、与党は参議院全体で135議席を確保し、2010年以来続いていたねじれ国会は解消されました。

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まとめ

ねじれ国会は、衆議院と参議院の役割分担が正常に機能している証でもありますが、一方で法案が成立しにくくなるという課題も抱えています。

二院制は、民意を反映させつつ、慎重な政策決定を行うために存在していますが、ねじれが生じると政策実行が停滞しやすくなります。日本の政治において、ねじれ国会の存在は今後も重要なテーマとなり続けるでしょう。

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