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政治資金規正法とは:政治資金スキャンダルと歴代内閣への影響、政治資金規正法改正の内容をまとめました

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記者会見で苦悩の表情をうかべる政治家 まとめ
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2022年に発覚した自民党派閥による政治資金パーティ裏金問題。岸田内閣の支持率を大きく下げる要因となり、2024年の政治資金規正法改正にいたる大きな問題となりました。

ですが、政治資金規正法の改正やそのきっかけとなる問題はそれ以前もたびたび起こっていました。

そこで、政治資金規正法の内容や制定目的、その改正につながる政治家の汚職・政治資金スキャンダルについてまとめました。

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政治資金規正法とは

政治資金規正法とは、「政治団体の収入、支出及び資産等を記載した収支報告書の提出を政治団体に義務付け、これを公開することによって政治資金の収支の状況を国民の前に明らかにすること」(総務省HPより)です。

政治資金規正法の目的

政治資金規正法はそもそも、政治活動を国民監視下に置いて政治活動の公明・公正を確保することを目的としています(政治資金規正法第一条)。

政治献金や政治資金パーティを制限し、どのような政治活動にいくらお金を使ったのかを明らかにし、公明正大な政治活動が行われるようにしようという理念で制定されました。

いつ制定されたのか

政治資金規正法が制定されたのは古く、1948年でした。戦後初の衆議院選挙が行われ、芦田均氏が内閣を組閣していたころです。

ただし、成立させた芦田均首相自身が首相辞任後に汚職で逮捕されるという恥ずかしい経歴を残しています。成立した時点ですでに前途多難な状況だったことが分かります。

※関連記事:歴代総理大臣の一覧表

成立当初、外国人からの寄付は禁止されたものの、寄付金額に制限はかけられていませんでした。これがのちに改正されて寄付金額制限が設けられることになっています。

政治資金規正法の内容

政治資金規正法は大きく2つの内容に分けられます。

政治資金の収支公開

政治資金規正法では、各政治団体が1年間の収入と支出を公開することが義務付けられています。政治資金の収支状況を国民がチェックできるようにするためです。

政治活動に関する寄付の制限

政党や政治家個人への寄付に関しての制限も規定されています。

外国人からの寄付は禁止されており、補助金を受けている会社からの寄付も禁止されています。

また、政治資金パーティでの収入が1000万円以上を見込む場合は収支報告書に記載義務が課されています。さらに、1年間で同じ人物からの寄付金が5万円以上になる場合はその氏名を公表する義務もあります(政治資金規正法第十二条)。

※関連記事:政治資金収支報告書とは:収支報告の報告義務はどこまで?違反するとどうなる?

政治資金のスキャンダルによる歴代内閣への影響と政治資金規正法改正の歴史まとめ

政治活動を公明正大に行うためにつくられた政治資金規正法ですが、政治資金に関して定期的に政治家がトラブルを起こしています。

特に平成以降のトラブルとそれによる政治資金規正法の改正の歴史をまとめました。

1988年リクルート事件(竹下内閣退陣)

リクルート事件とは、リクルートの子会社で未上場の会社の株が自民党の有力議員に渡されていた事件です。公開後に値上がり確実な株の譲渡という新たな手法による賄賂でした。

中曾根康弘,竹下登,宮沢喜一,安部晋太郎,渡辺美智雄ら自民党の派閥領袖クラスの政治家をはじめ多くの政治家が関与したとされ、未曾有の政治スキャンダルとなりました。

この事件が原因で竹下登首相は退陣しています。

1992年東京佐川急便事件(宮澤内閣・55年体制終焉)

1992年には、金丸信元副総理に5億円ものヤミ献金が渡されていたことが発覚しました。

野党が証人喚問をして追及するも不発に終わりましたが、自民党の55年体制の終結につながりました。

1992年政治資金規正法改正:政治資金パーティ券購入額が1人150万円以内に制限

リクルート事件と東京佐川急便事件により政治資金規正法が改正され、政治資金パーティ券購入額が1人150万円以内に制限されることになりました。

1994年政治資金規正法改正:政治献金者の氏名公開基準の引き下げ

リクルート事件や東京佐川急便事件の影響で、1994年には、1年間に5万円以上の政治献金をした人の氏名が公開されることになりました。

2004年日歯連闇献金事件(小泉内閣:橋本派会長の辞任)

橋本龍太郎元総理、野中広務元自民党幹事長、青木幹雄自民党参院幹事長(当時)が、日本歯科医師会の臼田貞夫会長から1億円の小切手を受け取りました。

政治献金でしたが領収証を発行せず、収支報告書に記載しませんでした。政治資金規正法違反により、橋本龍太郎元総理は橋本派会長を辞任しています。

2005年政治資金規正法改正:寄付は銀行や郵便振込みで行うように変更

日歯連闇献金事件の影響で政治資金規正法が改正され、寄付は銀行や郵便振込みで行うように変更されました。

また、寄付金も5000万円までに制限がかけられました。

2006年事務所費問題(安倍内閣:支持率急落)

複数の国会議員が、主たる事務所を議員会館に置いているにも関わらず、高額の事務所費を経費として計上していたことが発覚しました。議員会館は家賃がかからないため、事務所費も本来不要です。

これが契機となり、不動産の取得や自宅の新築・増築も政治資金を使って行い、収支報告書に記載していないのではという疑惑が広まりました。

安倍内閣の発足直後に発生した問題で、支持率が短期間に急落していきました。

結果的に安倍総理は1年後に辞任しています。

2007年政治資金規正法改正:政治資金団体の領収書の公開義務

政治資金団体をとおして不正に政治資金を流用することを防ぐため、政治資金団体の領収証の公開と第三者機関による監査が義務化されました。

2022年政治資金パーティ裏金問題(岸田内閣:支持率急落、派閥解消)

2022年、自民党の各派閥による政治資金パーティの費用を資金収支報告書に過少または不記載だったことが明らかになりました。さらに、議員による販売ノルマの超過分をその議員にキックバックして裏金としていたことも分かり、大問題となりました。

当時の閣僚4人や副大臣5人が罷免され、自民党の要職についていた萩生田光一、高木毅、世耕弘成の3名も解任される事態になりました。

さらにこの問題を受けて、多くの派閥も解消されました。

2024年政治資金法改正:パーティ券購入者の氏名公開基準引き下げ

政治資金パーティの不正発覚により、2024年に政治資金規正法が改正されました。

パーティ券購入者の氏名公開基準がそれまでの「20万円超」から「5万円超」に引き下げられました。

ただし、野党が強く求めていた会計責任者が罰せられたときに雇用主である国会議員も罰せられる「連座制」の導入には至らず、国民からも大きな批判を浴びて内閣支持率が下がる要因のひとつとなりました。

※関連記事:歴代内閣の最低支持率ランキング:歴代総理のワースト支持率とその理由(不祥事など)を紹介

政治資金規正法の問題点

これまで見てきたように、政治資金規正法が設けられて以降も政治家による汚職や政治資金スキャンダルはなくなりません。その原因として、政治資金規正法にいくつか問題点が指摘されています。

政策活動費の使途報告義務なし

政治家には政治活動の資金支援として「政策活動費」が支給されています。政策活動費は使途を公開する義務がなく、ブラックボックス化しています。

もちろん、正しい政治活動に使われていれば問題ないでしょうが、私的な使い道に流用するといった疑惑が後をたちません(朝日新聞など)。

※関連記事:政治家の税金事情:納税義務はない?源泉徴収されてる?政治家が税金を優遇されている理由を解説

政党交付金も使途報告義務なし

政策活動費だけでなく、政党交付金にも使途報告の義務がありません。

政党交付金とは政治家個人ではなく、政党に対して支給される政治活動費です。党本部から各議員に支給されます。

これも私的流用されたとしても、使途公開義務がないため分かりません。

※関連記事:政党交付金とは:政党交付金の仕組みと、不正利用があるのに制度が存続する理由

政治家個人が直接処罰されない

政治資金規正法に違反した場合、起訴されて処罰されるのは「会計責任者」であって「政治家個人」ではありません。

もちろん、政治家も収支報告書の記載漏れを認識していたり、過少申告していたりしたことを知っていたと立証されれば罰せられます。ですが、「政治家自身も知っていた」と立証するのはハードルが高く、大抵は会計責任者の処罰でとどまります。

こうしたことも、現在の政治資金規正法の弱い部分と言われています(朝日新聞など)。

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まとめ

政治資金規正法とは、政治家による汚職を防ぎ、公明正大な政治が行われるようにするためにつくられた法律です。

ですが、1948年の制定以降も政治家による汚職や政治資金違反はなくならず、数年に1回大きな問題となって政治資金規正法の改正に至っています。

お金の問題は政治不信をうみ、内閣支持率を下げる大きな要因のひとつです。正しい政治を行えるような正しい仕組みになっていってほしいものですね。

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